高知県北川村「モネの庭」マルモッタン

本場フランスのジベルニーの「モネの庭」から世界でただひとつ「モネの庭」と名のることを許されているのが

2000年に開園した高知県北川村にある「モネの庭」マルモッタンです。このガーデンは「水の庭」「花の庭」そして高知の気候ならではの「光の庭」で構成されていました。

私が初めて訪ねたのはまだ開園して間もない頃でした。高知に「モネの庭」の庭ができたと知り、今年話題の高知県立牧野植物園と合わせてツアーを企画しました。当時はまだ出来立ての「モネの庭」という名前の公園のようなイメージでした。そのころからパンフレットに掲載すると、年に1度か2度は花好きの方が参加して下さるツアーとして出発していました。

その後、バラの先生同行のツアーや徳島の大塚国際美術館のクロード・モネの絵画と合わせたツアーなど私の制作するパンフレットには定番コースとして掲載をしていました。

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そんな中、日本の方々には印象派のクロード・モネの絵画やクロード・モネの世界感が好まれるようで、このモネの池をイメージした柳の木やスイレンの咲く池も各地にできるようになりました。

この間にフランスのジベルニーからは毎年のように高知のモネの庭にチェックや指導に幹部の方々がいらしていました。またこの庭の維持管理の責任者である庭師の川上裕氏は、何度となくフランスのジベルニーを訪ねモネの世界感を忠実に表現するため日々コツコツと庭造りに励んでいらっしゃいました。

先日開催された「花と緑で楽しむアートクラフト展in東京2023」でのトークショーでも、その時の貴重なお話しをして下さいました。

御多分に漏れずガーデンは一日にしてならず!でこの真摯な庭づくりが歳月をかけてだんだんと本物になり徐々に全国的にも名前の知れるところとなっていきました。

丁度コロナの時期と重なるように北川村「モネの庭」マルモッタンは2020年に20周年を迎え、20周年の記念事業としてここ高知にしかなかった「光の庭」を大きくリニューアルし「ボルディゲラの庭」が完成しました。この庭はクロード・モネがルノワールと旅した北イタリアのボルディゲラの風景を再現したものです。温暖で乾燥した地中海の気候の中に育つオリーブやミモザなどの木々や植物、石積み、見晴らしの小屋からは海が見える今までにない風景が出来上がりました。

コロナで入園者が激減するなか、コツコツと日々の庭造りは続きさらに奥深い「モネの庭」になってきたように感じます。そこにまたひとつ、またひとつと小さなモネの絵画の風景をプラスされそれらが全て美しく調和して奥深さを作っているのではないでしょうか。

毎年バラの季節に訪ねてきた私ですが、2年ぶりに昨年6月初旬に訪ねた時のことです。

スイレン咲くモネの池の水鏡が美しすぎて眺めながら自然と涙が出てきてしまいました。

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一緒に歩きながら川上さんから「今日の池はいいよー」という言葉を聞き私も本物の美しさがわかるようになったのかな、としみじみ嬉しくなりました。

今年の春もモネの池の周りの桜や柳の新緑や竹がモネの世界に調和しホッとする雰囲気をかもしだしていました。ボルディゲラの庭にも高知に自生するオンツツジや柚子の木などがはいり、高知ならではの自然ととけあう他にはない世界が繰り広げられています。

今やいつ行ってもその季節の良さを感じることのできる、世界にひとつだけの北川村「モネの庭」マルモッタンがここにあると私は力強く感じています。

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花旅コーディネーター 舩山 純(ふなやまますみ)