フィラデルフィアフラワーショー

1997年、フィラデルフィアフラワーショーに出品しました。

歴史と伝統がある、世界最大級のフラワーショーですが、当時は今と比べると全くというほど情報が無く、作品を送るにも手探りでの挑戦でした。

97年は同フラワーショーで開かれている「押し花コンテスト」5部門にエントリーし、2部門でブルーリボン(金賞)、銀賞、銅賞、佳作と、エントリーしたすべての作品が受賞することができました。フラワーショーの長い歴史の中でも、日本人は初めての受賞でした。

観光ポスターの部でブルーリボンに選ばれた作品「ノイシュバンシュタイン」は、その後テレビや書籍など各メディアで紹介され、私の代表作になっています。

ノイシュバンシュタイン
色とりどりの葉を木々に見立てて細かく作りこみ、自然そのものが持つ美しさを描きました。

セザンヌ
テーマは「ルーブルの画家の作風」。セザンヌの筆のタッチ、色彩の濃淡を表現しました。

この時、初出品で全ての作品が上位賞に選ばれ「圧倒的な美しさとデザイン力」「新進気鋭の日本人アーティストが現れた」と随分話題になったそうです。同時に若輩の日本人男性ということもあり、保守的な中からはバッシングの声も聞こえてきたのも事実です。

それら様々な想いから、何としてもグランプリの「ベストオブブルーリボン(大賞)」を手にしたいと、翌98年にも出品し、二度目の挑戦にしてグランプリを獲得することができました。

この時の作品「フラワーブック」は、ポスター部門で「花の種のカタログ」がテーマ、私は小さな25のマス目に区切り、1マスごと全て違う花をデザインしました。素材は押し花のみで、タイトルロゴにした「FLOWER SEED」という文字も押し花を切って造形したところ、その発想にとても驚かれたようでした。

フラワーブック

受賞のリボン

従来の「押し花」は変色した押し花が主流で、自然そのままの色と姿を化学の力で残した私の作品は、それまでのフィラデルフィアフラワーショーにはなかったテイスト、手法、デザインだったと思います。

私が押し花コンテストに挑戦し、グランプリを受賞したことで、その長い伝統の「押し花」の世界に新しい感覚を加えることができたのではないかと実感しています。

念願のグランプリ受賞を果たしたことから、その先は後進に譲ってフィラデルフィアフラワーショーを卒業。その後、我々の仲間である日本の押し花作家の皆さんはもちろん、台湾をはじめ海外のメンバーの皆さんもエントリーして各賞を受賞されました。世界中から注目される大きなフラワーショーの舞台で、日本から発信した押し花文化が、多くの人々に認められてきたのだと思います。

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フィラデルフィアフラワーショー会場の様子

押し花アーティスト 杉野宣雄